タラバガニは人気のカニの一つ。
あのしっかりとした食感がたまらない
人も多いのではないでしょうか?
しかし世の中にはそんなタラバガニに
とってもよく似た「ベツモノ」があることは
知っていましたか?
「アブラガニ」とはどんなカニ?
タラバガニとよく似たカニ・・・
それは「アブラガニ」と言われるカニです。
2つにはどんな違いがあるのか?
アブラガニにはどんなメリットがあるでしょうか?
①アブラガニを見分けよう~大きさと脚の数
参照元:https://www.photo-ac.com/
以前、おなじみの「タラバガニ」と偽って
とある種類のカニを出すという事件がありました。
見た目や味はタラバガニとよく似ているのに、
実際は違う種類のカニだったというのです。
観光客の方はほとんどが騙されるという・・・
そのカニの名前は「アブラガニ」。
「初めて聞いた」という人も少なくはないのでは?
一体アブラガニとはなんなのでしょうか?
アブラガニの分類はというと・・・
エビ目・ヤドカリ下目・タラバガニ科。
アブラガニはタラバガニと近縁種なんです。
タラバガニ自体が分類上カニではなく
ヤドカリの仲間になりますので、
アブラガニも同じく
「ヤドカリ」ということになります。
ヤドカリであることが分かる最大の特徴が
「脚の数の少なさ」。
ズワイガニや毛ガニが
1対のハサミと4対の脚を持つのに対し、
ヤドカリ類のカニ達は違います。
1対のハサミと3対の脚。2本少ないのです。
脚の数や全体のフォルムが共通している2者。
詳しくない人は小型のタラバガニと言われれば
信じてしまうでしょう。
②アブラガニを見分けよう~色と艶
参照元:https://www.instagram.com/
アブラガニはその名の通り油を塗ったように
つやつやした殻が特徴的です。
タラバガニに艶はありませんので、
パっと見で違和感を感じるでしょう。
形ももアブラガニの方が縦長です。
色も青黒いことが多く
アオガニという別名も有るほどです。
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もちろん茹で上がったら
わからなくなるのですが・・・。
浜茹で(水揚げ後すぐ締めたものを指す)されたものは
別の見分け方がしやすくなります!
③アブラガニを見分けよう~トゲの形・数
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茹でられると真っ赤になるのは、
カニに限らず甲殻類全般の特徴です。
アブラガニを見分けるには、
この特徴が役に立ちます。
真っ赤な色・明るい色になると、
外見の差異が際立って見えるので、
判別がしやすくなるのです。
アブラガニのトゲは、
タラバガニより大人しめです。
トゲというよりは突起といった感じで、
タラバガニより丸いフォルムをしています。
さらにある2つのポイントを見ることで、
アブラガニかどうかを知ることができますよ。
①お腹のトゲを見てみよう
ふんどし(お腹側の三角形の部分)を見てみましょう。
下の青丸で囲んだ場所が、
タラバガニだとトゲがたくさんありますが、
アブラガニはすっきりしています。
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②背中のトゲを見てみよう
もう1つのポイントが背中にある突起の数です。
6つがタラバガニ、4つがアブラガニです。
下の画像の、青丸でかこまれた部分を見てみましょう。
参照元:https://www.irasutoya.com/
この数はカニの年齢や性別に関係なく
変わらない法則なのでわかりやすいです。
これらの特徴でタラバガニと
アブラガニを見分けることが可能です。
こうしてみると、
タラバガニの廉価版という表現が
ピッタリ来ますね。
事実この紛らわしさから、
ちゃっかりした業者がタラバガニと偽ったのが、
騒動の始まりです。
むしろあまりの紛らわしさから、
現地では悪意なしに
同じようなものとして取り扱っていたほど。
最終的にこれだけ詐欺が多発したのは、
人気のタラバガニとして
売りさばく方が売れると判断したためでしょうが、
やり方がまずかったですね!
ただ不幸中の幸いといいましょうか。
現在では騒動がらみで名が知られるようになったため
最初からアブラガニを購入する方も増えています。
どんなカニなのか確かめてみたくなりますね。
アブラガニの「身」と「カニ味噌」
アブラガニについて一通り知ったところで、
肝心の味について考えてみましょう。
外見が非常に紛らわしい
アブラガニとタラバガニですが、
味やもろもろに違いはあるのでしょうか?
アブラガニも「身」が美味しい!
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近縁種・タラバガニは、
身を楽しむカニと言われています。
大型で身が引き締まっていて、
食べ応えがあるからです。
それではより小型のアブラガニはどうなのでしょう?
アブラガニは、タラバガニより水っぽく味が落ちる・・・
と考えている人が多いようです。
しかしそう思われる理由は保存方法の難しさゆえ。
アブラガニはタラバガニより長期保存に向かず
味が落ちるスピードが速いのです。
ましてアブラガニは今まであまり出回って
こなかったカニ。
何の気なしに食べた人が「あまりおいしくない」
と感じても不思議ではありません。
カニ自体、滅多に食べる代物じゃないですしね。
本来のアブラガニは、
むしろ身は甘くぎっしりと詰まった肉感です。
これはヤドカリ類特有の長所。
アブラガニもタラバガニに負けず劣らず美味しいのです!
その癖管理の難しさのせいで値段も安価。
気軽にカニを楽しみたい人には、
まさにもってこいのカニになるわけです。
料理方法としては焼きガニ、蒸しガニ、汁物・なべ物
オーソドックスな食べ方ができます。
単純に茹でただけでも歯ごたえある肉質なので
十分満足することが可能です。
活きの良いものを選べば、
タラバガニに負けない
美味しいアブラガニが味わえますよ!
どっちもどっちの「カニ味噌」
参照元:https://www.irasutoya.com/
ただしカニ味噌については注意が必要です。
もともとカニ味噌は文字通り
「カニ」の味噌(内臓)。
肝臓にあたる部分になります。
毛ガニやズワイガニはここを嗜むのがお約束になって
さえいるほどの「珍味」ですね。
しかしタラバガニやアブラガニは「ヤドカリ」。
内臓はカニと大分構造が異なり、量も少ないです。
なによりヤドカリ類のカニ味噌はカニと異なり、
率直に言って美味しくないのです・・・。
食べられないこともないのですが、
加熱してもカニ類と違い固まらず
生臭さが残ったままです。
解体する際も、
まずは内臓を捨てることを推奨されます。
内臓が身につくとえぐみが出るからです。
そのため大手の通販業者などは、
最初から脚のセット(1肩)で
販売しているところも多く、
世間一般的にタラバ・アブラガニのカニ味噌需要は
引くようです。
これはタラバ・アブラガニ共通のウィークポイント。
この2種を買うときは、
純粋に身のみを割り切って楽しみましょう。
解体する際も、味噌は早めに取り除くことが大切です。
それでも「せっかくカニ買ったんだから・・・」と
一度は味わってみたい人は、
なるべく新鮮な活状態のものを購入し、
茹で上がったら急いで食べきるとよいでしょう。
加熱直後は流れやすい
アブラガニ・タラバガニのカニ味噌も
多少は留まっていますし、香ばしさもあります。
俗にいうカニ味噌とは、肝臓・膵臓に
あたる部分を指します。
要はカニのレバーです。
構造上、ヤドカリの仲間の「カニ」は加熱
により味噌が流失します。
美味しくない以前にそもそも食べようにも
食べられないと言った方が正しいのです。
アブラガニの値段相場
参照元:https://www.pakutaso.com/
アブラガニの旬は1~6月です。
タラバガニが7月から秋頃、
外国産は冬にかけてなのを考えると、
完全に別々の季節にとれるわけです。
やはり食べ物は
最も数が出回る時期が値段が下がります。
アブラガニも例外ではありません。
そして値段ですが、タラバガニの7割程度。
1㎏あたり6000~8000円ほどで、
同量のタラバより1000円ほどは安いでしょうか。
また姿ではなく、
1肩単位で買うともっとお値打ちになります。
とにかく保存が難しいカニなので、
基本は冷凍のものを購入することになります。
活を買うよりは節約できますね。
近年漁獲量に制限がかかることもある
タラバガニと違い、
アブラガニはまだ数の問題が
そこまで深刻になってはいません。
急激に相場が上下することもしばらくないかと
思われます。
アブラガニはどこで購入できる?
アブラガニの相場がわかったところで
具体的な購入方法を知りましょう。
知名度が上がってきたとはいえ、
普及しきっていないアブラガニは
どこでなら安く手に入るのでしょうか?
店頭で購入する
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やはり鮮魚店や地元の市場にて購入するのが
自ら目利きができて安心という人も多いでしょう。
タラバガニと偽ったものにだけひっかからない
ようにしなくてはいけませんが。
ただ、アブラガニは
一般に出回っている数が極端に少ないカニ。
見極めようにも置いていないことはザラにあります。
そしてスーパーのような専門店でないところだと、
わざわざ有名なタラバガニよりも優先させて
仕入れる意味がまずありません。
それこそ偽装でもしない限り、
アブラガ二を仕入れようとは思わない。
高級なカニとは別ベクトルで、
出会えたらラッキーといったカニ。
それがアブラガニなのです。
どうしても直に目で見て判断したい場合、
アブラガニの旬である1~6月に北海度の港へ
行かねばなりません。
現実的に考えてそれは中々困難ですよね。
現地にあるかどうかわからないカニを求めに
長旅は現実感がなさすぎです。
デパートで購入する
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現地には行けないし、スーパーには期待できない。
ならばデパートならば品揃えが良いから
置いてあるのでは?と思った方も残念ですが、
諦めましょう。
毛ガニやズワイガニならともかく、
アブラガニをデパートで購入するのは
難しいでしょう。
なぜなら贈答品として一流の質のものしか
取り扱わない傾向があるデパートでは、
格落ち感があるものははじかれるからです。
物産展を気長にチェックしていれば、
ひょっとして可能性もあるかもしれませんが・・・。
結局確率は一般のスーパーと変わらないのです。
過度な期待はよしておきましょう。
インターネット通販で
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やはりアブラガニに限らず、
すべてのカニに対して言えることですが、
ネット通販が一番です。
ここでならリアルタイムで
在庫の状況や流通について
詳しく知ることが可能です。
何度も言いますがアブラガニは大変保存が難しく
そもそも市場に出始めたのも最近のこと。
近隣のスーパーやデパートにでかけても、
まず置いていない代物なのです。
なので購入できるものは、おのずと冷凍ガニか
茹でガニの冷蔵物に限られます。
ネットならばカニが傷まないように、
迅速な手配と受け取りが可能です。
旬以外の季節でも購入できるのはやはり強み。
他の購入方法ならば、
目を皿にしてアブラガニの入荷に気を配り、
見かけたら即購入!という手段しか取れません。
家族や仲間で集まる1週間後の楽しみにとっておこう♪
なんて悠長なことを言っておれず、
急いで購入と消費しなくてはいけないのです。
そんなわけで楽でいつでもOKな購入方法は
インターネットショッピングに限られるという
わけです。
検索してみたところ、
どうやらまだタラバガニの二番煎じ、
代用品といった風情があるようですが
そんな評価ゆえにお安いのも事実。
特に大勢で消費することを考えたら、
肉質・味が似ていて更に量が買える
アブラガニはうってつけです。
さしてグルメではない、
味の多少の違いに目をつむることができるというなら、
最良の選択と言ってもいいかもしれません。
アブラガニとタラバガニ。
初めて2つの違いを知った人も、
前から知っていた人も
関心を深めて頂いたなら幸いです。
冬になってカニを味わうその前に、
新しいカニの味を知っておくのも悪くないのでは?