その巨体・存在感から、

食卓に出せば注目の的タラバガニ。

 

もちろん中身も大変おいしい人気者ですが

このタラバガニを最も美味しく食べられると

したら…どう思いますか?

 

タラバガニの旬はいつ?

「旬」とは、ある食べ物が最もおいしい時期。

 

通常産卵・出産の際に備えている生き物は、

目的を達成するまで栄養を蓄え続けます。

 

ではタラバガニの「旬」は

いつどこでタイミングを迎えるのでしょう?

 

カニの「旬」と「禁漁期」

参照元:https://www.photo-ac.com/

皆様はカニの「旬」について誤解をされています。

 

「旬」とは、ある食べ物が一番美味しく頂ける季節。

 

ですがカニと言えばカニ鍋・焼きガニ・蒸しガニなど

冬に温まる為に食べるものが多く…。そのために

カニと言えば「冬」にしかないと思いがちなのでは

ないでしょうか?

 

海産物は時期によって日本近海にそもそも来なかったり

中毒の危険があったりするため、規制がかかることも。

 

そのためにカニも完全な季節モノというイメージが

先行しているようです。

 

ですが、それは大きな間違い!

 

確かに日本は北海道やオホーツク海などで

獲れるカニ類の多くは冬に水揚げされ、市場に出回ります。

 

ズワイガニなどはその典型的例です。

 

目にする機会が多い時期だからこそ、

冬が旬と考えるのは間違いではありません。

 

しかし、正解でもないのです。

 

カニの旬は「禁漁期」が大きく関係しているのです。

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カニ漁は単価の高いカニを獲るため人気ですが、

獲ってばかりではいずれ少なくなってしまいます。

 

そこで種の保存の為、「禁漁期」が設けられました。

 

それはカニが産卵する時期。

 

子どもを産む前とその直後はカニをそっとしておこう

という作戦ですね。

 

ちなみに数の保護の観点から

メスガニは逃がすのが通例です。

 

カニの産卵時期は種類によって異なるのですが、

ズワイガニのような日本各地に生息するカニならば

地域によって産卵時期などが異なる為、禁漁期も異なります。

 

毛ガニも北海道の主に4つの海域で

順繰りに漁のシーズンが回るようにされています。

 

年間の内、禁漁期を除いた時期で、カニが太る

タイミングは1度切りではありません。

 

また「旬特有のおいしさ」というのも、

カニのそれは一口では語れません。

 

味・食感・食べやすさが季節によって異なるからです。

 

「旬」というのは割と流動的で、

人それぞれとも言えるでしょう。

食べられないメスのカニ

オスと違い、メスには産卵して子孫を増やす

大切な役割があります。そのためメスガニは

獲れても逃がすのが通例です。

 

もともと産卵はエネルギーを使うためにメスは

オスより小さく、やせていることが多いとされて

います。市場でさばけないから獲らないという

理由も大きいでしょう。

メスガニはおなかの「ふんどし」と呼ばれる

三角形の部分の大きさで見分けられます。

左がオス、右がメスのイメージです。

参照元:https://www.irasutoya.com/

稀に子持ちガニが出まわるときがありますが

相当に貴重なものなのです。

 

「夏」がタラバのまっさかり!

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産卵時期はカニによって異なるのですが、

タラバガニの場合は4~6月。

春から初夏にかけてがシーズンです。

 

この時期はカニの次世代保護の為にタラバガニは

お預けです。

 

そもそも産卵にエネルギーを使い果たしたカニは、

この時期急激に痩せて身がスカスカになってしまいます。

 

大きくなるために新しく服を着た状態ですから、

中身が小さいのは仕方がないですね。

 

再びタラバガニが回復して、再び安定して獲れる時期。

それは7月以降!真夏が一番いい時期になるのです!

 

この時期は脱皮することも少なく、

水揚げしても一定以上の質のカニが多く獲れます。

 

カニについては素人という人でも、

しっかり選べば良い買い物ができるいい機会です。

 

一つ断っておくと、冬のタラバガニも決して悪く

ありません。

 

むしろ「カニ」というイメージのためか

冬にこそタラバガニの宣伝も活発化します。

 

手に入れやすくなるのも、

保存が多少効くのも冬になるでしょう。

 

夏のタラバガニは大穴のようなもの。

 

夏にカニということを皆が想定していないこともあり、

競合者0で購入できてしまうときも。

 

先入観を捨てて、

まずは買って食べてみることからおすすめします。

 

「年中」とれる!外国産タラバ

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外国産のタラバガニの場合、

日本とは事情が大分異なります。

 

禁漁期やその他の規制が

かからないことが多いからです。

 

タラバガニは主にホーツク海とベーリング海

2つの海域で獲れるカニです。

 

ロシア産は前者、アラスカ産(アメリカ)は後者。

最近ではカナダ産などもちらほら存在します。

 

どれも遜色つけがたいですが、

やはり旬の時期がポイントです。

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ロシアは北海道と同じ、オホーツク海にて漁をします。

北海道の北部に広がるのがそうです。

 

すなわち春から夏にかけてが旬と言えますが…

実際にはロシアは年中漁が可能で、通年を通して

ロシア産のタラバガニを手に入れることができます。

 

むしろ国内産は規制等の現状希少なために、普段

目にするタラバガニはほぼロシア産です。

 

ゆえに外国産のタラバガニの「旬」を断定するのは

中々難しいでしょう。

 

また、通常旬のものならば、とれたてを食べて新鮮さや

味の濃度が図れそうなものですが、外国産のカニは

輸出入の手間暇などからすべからく冷凍にされます。

 

もちろん現在の急速冷凍技術・保管方法は

優れたものですが、

獲れ立て旬の鮮度を味わうといった醍醐味からは

いささか離れることは否めません。

 

反して、時期による味わいの変化を気にしなければ

ロシア産・冷凍のタラバガニは最も手に入りやすく

お手軽なおすすめ品でもあるのです。

寒さと大きさは比例する?

タラバガニは冷たい海中にしか生息できないカニです。

そして海域が寒ければ寒いほど、大きく成長します。

そのためタラバガニの漁獲はオホーツク海や

ベーリング海などで盛んなわけです。

 

現状ロシアのタラバガニが90%位市場を占めているとも

聞きます。ここまで外国産が多いのは、大きいカニが

いつでもたくさん獲れるからにほかなりません。

タラバガニの名の由来も、同じく寒冷な海で良く獲れる

「たら」と獲れる場所が同じだから…という説がある

くらいです。

 

季節で違う・タラバガニの味

タラバガニの旬が夏とは、予想だにしていない

人も多かったことでしょう。

 

ですがタラバガニは夏のみのカニではありません。

いろいろな時期のカニを確認していきましょう。

 

最高品質ならば「堅ガニ」

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2~3月の春先の時期。

春先のタラバガニは脱皮のシーズンです。

 

脱皮とはカニが大きくなるために必要不可欠な行為。

 

何回も脱皮を繰り返したカニは1㎏を軽く超える

大きな体に育ちますが、脱皮直後は産卵時と同様

エネルギーを使い果たし、身がやせてしまいます。

 

このシーズンに漁をすることは、「外れ」が多く

含まれるおそれがあります。

 

しかしそれは裏を返せば、脱皮ギリギリの太りに

太ったカニ「堅ガニ」がとれるチャンスでも

あるということに他なりません!

 

真夏は安定して一定の良質なカニがとれる時期ですが

やはり最高品質の堅ガニは捨てがたいもの。

 

全体の数に対してとても少ない数ですが、

ぜひ一度は手に入れたいものですね。

 

「堅ガニ」の定義

脱皮を繰り返し、次の脱皮までに十分太り切った

カニを「堅ガニ」といいます。

名の通りパンパンに堅く身が詰まった状態です。

また堅ガニにはランクがあり、

・堅ガニ(料亭などで出してもおかしくない)

・若上ガニ(堅ガニよりまだ肉が痩せていたカニ)

・若ガニ(まだまだ成長途中のカニ)

と松竹梅状態になっています。

さらに堅ガニは4段階ランクがあり、4特ともなると

超高級料亭くらいでしかお目にかかれない代物です。

 

お値打ちならば「若ガニ」

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夏がタラバガニの「旬」。

春が当たり外れありの「ボーナスタイム」だと

するならば、11月~2月の時期のタラバガニは

どんな具合なのでしょうか?

 

タラバガニの脱皮シーズンが春先であるのは上記の

通りですが、近年もっと早く脱皮をするケースも

知られています。

 

11月~2月の晩秋から真冬にかけての時期。

実はこの季節も狙い目なのです。

 

堅ガニは確かに肉付きが良い、最高のカニですが

別にそれ以外のカニがまずいというわけでは

もちろんありません。

 

それぞれの時期には、それぞれのメリットがある

カニが存在します。

 

「若ガニ」と呼ばれる時期のカニがそうです。

 

若ガニとは、まだ脱皮をしたばかりで殻も柔く、

肉も痩せ気味なカニを指しますが、

かえって殻も向きやすく、

甘く瑞々しい味と食感がするということで、

通の間では結構知られたものなのです。

 

柔らかい殻も向きやすく、食べる際の手間

かかりません。これは新しく出来た殻と中身の

間に隙間があるから。

 

堅ガニにはない短所も

別の観点から見たら長所になるのですね!

 

もちろん堅ガニとは正反対のカニです。

国内産の堅ガニが高級品として触れ書きされて

いるのに対し、

お値段も安価で手に入れやすいのが特徴です。

 

それだけにまとまった量を購入することも容易く、

「訳アリ品」に次ぐお得な商品と言えます。

 

11月頃と言えば、寒さも一段と厳しくなりますね。

 

カニ鍋や焼きガニが大変恋しくなる季節。

 

物は試しに、若ガニを買って賞味するのもよいでしょう。

 

「水ガニ」などという別名でも流通していますので

通販などで購入すれば間違いはありません。

 

決して小柄なカニのことや、似た種類の「アブラガニ」

「花咲ガニ」のことではありませんので、誤解なきよう。

(それらはタラバガニと味わいや食感も異なります)

 

若ガニ自体はズワイガニや毛ガニにもありますので

余裕があればそちらもチェックをおすすめします。

 

通年安価ならば「外国産」

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ロシアなどの外国では、通年カニ漁が行われたり

日本とは環境そのものが違うのは上記の通りです。

 

タラバガニはロシア産のカニがシェアの90%以上を

占めますがそのほとんどは冷凍保存されます。

 

冷凍処理されたカニは、3年は持つと言われています。

それくらい気合を入れて処理されているカニは

安全ですが、稀に「冷凍焼け」と言われる、乾燥や

酸化による風味の劣化もありえます。

 

モノによってはいつとったのかわからなくて、

旬かどうかが判断できないものもあります。

重々承知しておきましょう。

 

ですが冷凍はカニの良い状態を閉じ込めて置ける

一番の方法です。

 

「外国産だから」「冷凍だから」といった理由で

食わずぎらいするのは大変もったいない!

 

解凍さえ適切に行えれば、プリプリに引き締まった

時の瞬間が帰ってきます。

 

1年の内、どんな時でも手に入れられる美味しい

タラバガニ。それを現実にしてくれるのは外国から

来たカニのおかげなのです。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

単純に「カニ=冬の食べ物」という認識があった人には

驚くべき内容だったかと存じます。

先入観にとらわれていては、美味しいカニにはありつけ

ません。どうぞ覚えておいてください。